日本と海外の翻訳会社の違い

こんにちは。メディカルライターのYukaです。

これまでに10社以上の翻訳会社と契約し、一時期は5社(国内2社、海外3社)から継続的に案件を受注していました。その経験をもとに、日本と海外の翻訳会社の違いについて書きたいと思います。

契約書の内容

海外の翻訳会社の中には、賠償責任保険への加入を翻訳者に義務付けているところもあります。契約書をよく読み、わからない点があれば署名する前に問い合わせ、対応できないと思う内容について文面を変更してもらう必要があります。

単価

円安の影響もあり、海外の単価(1単語あたりの価格)は日本の単価の2〜3倍になることも多かったです。日本の翻訳会社の場合は、会社側から単価が提示され、交渉の余地はほとんどありませんが、海外の翻訳会社の場合は交渉によって上がる(または自分から希望の単価を伝える)ことも多いです。

ただし日本と違ってCATツールの翻訳メモリ(TM)とのマッチ率によって単価が変化することに注意が必要です。たとえばマッチ率が75%未満のセグメントには単価が適用されますが、75〜95%マッチのセグメントは単価の半分、95%から99%マッチのセグメントは単価の1/4、100%マッチのセグメントは単価の1/10といったような形です。そのため、原文で似た内容が繰り返される案件では、全体のボリュームの割に支払われる金額が少ないと感じる可能性があります。マッチ率による単価の変動率を契約時に確認し、場合によっては交渉して変えてもらう必要があります。

プロジェクトマネージャー(PM)さんからの打診

PMさんから案件の打診メールがくるのは日本と同じでしたが、案件を断りたいときにも、海外のPMさんは「締め切りを伸ばせば受けられるか」とか「量を減らせばできるか」など交渉してくることが多かったです。押しに弱い方は、本当はやりたくないと思っている案件を受けてしまわないように注意が必要です。また海外の一社は、複数の翻訳者に同時に打診メールを送っているのか、打診メールの直後に取り消しメールが来ることがありました。日本よりも締め切りが短く、全体的に素早い対応を求められる印象がありました。

翻訳作業の範囲

日本の翻訳会社では、よほどのことがない限り一度納品したものが自分のところに戻ってくることはありませんでした。ところが海外の一社で、納品後にあらかじめ言われていない追加作業が発生したことがありました。追加のお支払いについて問い合わせたのですが、それは翻訳の仕事に含まれている、というようなことを言われて諦めたことがあります。初めて取り引きする会社の場合、納品後の追加作業の可能性があるのか、その作業に対して支払われるのかなどを、あらかじめ確認しておいた方がいいかもしれません。

インボイス、支払い、納税

日本では、翻訳会社が支払明細書を発行し、所定の口座に振り込んでくれるのが一般的です。海外の場合は、自分で請求書を作成して送らなければいけないことが多いです。translation invoice templateで検索すると翻訳者が使えるインボイスの例が出てくるので、それを参考にしながら自分でテンプレートを作っておくと便利です。

海外取り引きの支払いは、現地通貨またはUSDのことが多かったです。私は手数料が少ないと評判のWiseを使っていました。納品後にいつまでもたっても支払ってくれない悪質な翻訳会社も中にはあるので、Proz.comのThe Blue Board等で翻訳会社の評判をあらかじめ調べておくと安心です。

確定申告の際には、海外取り引きの売上も日本円に換算して計上する必要があります。いつの為替レートを使うかなど、自分であらかじめルールを決めておく必要があります。また海外取り引きには原則消費税は発生しないため、会計ソフトに記帳するときに注意が必要です。

海外取り引きは、慣れてしまえば特に難しいことはないのですが、日本とはルールが違う部分もあり、柔軟な対応が求められます。不明点がある場合は、契約前や受注前に必ず問い合わせるようにして、何かおかしいと思った場合はきっぱりと断る勇気が必要です。

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