スライドを使った学会発表の準備のコツ
メディカルライターのYukaです。
先月、日本内科学会の年次総会の一環として開催された「ことはじめ」という若手医師や医学生向けのセッションで、「魅力あるプレゼンテーション」についてお話しする機会をいただきました。今回はその発表に向けてどのように準備したか、記録としてまとめてみたいと思います。
4週間前:方向性を決める
参加者を調べて、目的を明確にする
まずは、誰に向けて何を伝えるのかを調査しました。今回は医学生や若手医師が対象でしたが、指導医の先生方も同席されることが多いと聞き、症例発表や臨床現場で「わかりやすいプレゼンテーション」をするためにどうすればいいかをテーマにしました。
プログラムに載せる要旨を提出する
スライド作成に取り掛かる前に、まずは参加者と目的を意識した要旨を作成しました。この段階ではまだスライドは作っていなかったので、あまり具体的な内容はいれないようにしました。
2週間前:スライドと原稿の作成
スライドを作る
最初は順序をあまり気にせず、伝えたいポイントごとに1スライドずつ作成しました。1枚のスライドを説明するのに必要な時間は、内容によって変わってきますが、今回は発表時間1分あたり1枚(15分の発表ならスライド15枚)を目安に作成しました。
読み原稿の作成と調整
本番で読み上げるためではなく、時間配分や内容確認のために原稿を作成しました。できるだけ話し言葉を使い、ところどころに聞き手への問いかけも入れるようにしました。
1週間前:読み原稿を音読して録音
スマホで録音しながら練習
原稿を見ながら音読し、気付いた点や修正した点をメモしておきました。それを参考にスライドや原稿を修正しました。
途中で何度かスマホで録音し、声の出し方や、聞いていて長すぎると感じる文がないかどうかを確認しました。
発表時間に合わせてスライドの分量を調整
今回は最初に作ったスライドが少なく、予定された発表時間20分に対して、10分で原稿が読み終わってしまったため、内容を追加することにしました。
数日前:原稿を使わずに発表練習
配布資料を使って復習
資料を配布する予定はありませんでしたが、練習用に6スライド/ページの形式で印刷しました。印刷されたスライドを見ながら発表内容を思い出す練習をして、すぐに内容が思い浮かばない場合は、スライド内にキーワードを追加していきました。
原稿なしで通し練習
原稿を見ずに発表する練習を何度も繰り返しました。自分の話し方やプレゼンテーションの内容を客観的に評価するのに、スマホを使った録音や録画が役立ちました。録音・録画しながら練習しておくと、本番でも自分を客観的に捉えることができて、緊張感が和らぐと思います。
発表当日:テンションを少し上げて臨む
当日は誰かと会話する
普段通りのテンションで話すと暗い印象を与えてしまいがちですが、今回は発表前に他の方と会話できたため、ややテンションを上げて臨むことができました。当日朝に発表内容を確認するときも、できるだけ大きめの声で練習して、自然に声が出る状態にしておくのがいいと思いました。
読み原稿はお守りとして持参
プロジェクターにトラブルがあったときのために、念のため読み原稿を壇上にも持参しましたが、使うことなく終えることができました。
おわりに
「わかりやすいプレゼンテーション」をテーマにした発表にはプレッシャーもありましたが、事前に準備をすることで大きな失敗なく終えることができました。
「話し言葉を使って読み原稿を作成すること」と「練習の際にはスマホで録音・録画すること」が、特に役に立ったと感じました。どなたかの参考になれば嬉しいです。